1 何も聞こえない | 2 死ぬほどめんどくさい | 3 スター | 4 セブンスター(2本目Ver.) | 53年間は速すぎる | 6 RPG | 7 部屋と花粉と私 | 8 上質なねじれた心 | 9 ロボット診療所 | 10 ひぃはぁ | 11 売れないバンドマン | 12 何も聞きたくない

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1.「何も聞こえない」(作文)作詞 角皆文悟 / 作曲 3markets(株)

何も聞こえない。いや、何も聞きたくない。
所詮この世は嘘だらけで、一歩町に出れば偽善者がゴミ拾いをしている。
政治家の公約が耳をつんざく。「当選した暁には…」ってそれって政治家にならないできない事?
やりたい事ならどんな立場でもやってほしいもんだ。所詮は当選したいが為の嘘だろう。
目の前ではサラリーマンがキセルをして、ホームでは学生が列に割り込む。
電車では女子高生が痴漢され、スーツのおっさんはスポーツ新聞のゴシップ記事に夢中だ。
この人たちは欲望に正直だ。悪い事だけど、もったいないから、座りたいから、触りたいから、見たいからやるのだ。
でも、その正直さを悪いという。
偽善者のゴミ拾いや、政治家の綺麗ごとの方がよっぽど良い事だとされる。
そんなくそったれ世の中ってなんだろう。
そんな欺瞞に満ちた声ならば、聞きたくない。
何からか逃げるようにあいてる席に座り込んだ。
そして、イヤホンを耳に押しこむ。

何も聞こえない。何も聞きたくない。


















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2.死ぬほどめんどくさい作詞 / 作曲 風間崇史

全部めんどくさくなった めんどくさくなったよ
駄目になった つまらなくなった


君のめんどくさい話を聞くのもめんどくさくなったよ
生産性のない仕事にも飽きてしまったよ
明日のことも明後日のことも
昨日のことも一昨日のことも
考えられなくなった 考えたくもなくなった

いつからだっけ これはいつからだったっけ
何かを始めることにも 疲れてしまったよ

全部めんどくさくなった めんどくさくなったよ
駄目になった つまらなくなった
めんどくさくなった めんどくさくなったけど
時間になったら やるしかなかった


僕の面白くない昔を唄うのもめんどくさくなったよ
ギターの音もベースの音もドラムもうるさく思ったよ
でもなんにもしない なんにも聞こえなくなったら
悲しくなった やっぱり1人は無理だな

いつからだっけ これはいつからだったっけ
自分を伝えることすら 怖くなったよ

全部めんどくさくなった めんどくさくなったよ
駄目になった つまらなくなった
めんどくさくなった めんどくさくなったけど
時間になったら やるしかなかった
全部 全部 辞めたくなったんだ
めんどくさくなった なんていうのは嘘で
全部 全部 うまくいかなかっただけ

うまくいかないならば やるしかないんだ

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3.スター作詞 / 作曲 風間崇史

ずっと探してたスターを手に入れた 無敵になって悪いやつらを蹴散らした
たくさん倒してたモンスターを倒してみた あれ, 倒す必要あったっけ

流れ続ける単調な音の中で 周りを見渡せば誰もいない
倒し続けるスターの光の中で
頼れる人なんて誰もいない いなくなったんだ

強くなればなるほど周りに誰もいなくなった
気づいたら僕はひとりぼっち これが僕の望んだ世界だって

うそだちがうちがうちがう
スターじゃないよモンスターだ まるで
これを「強さ」と呼ぶのなら弱いままでいい

スターなんかいらなかったスターなんかいらなかったんだ
「強い」ってなにか知らなかった 弱いって知ったモンスター

フィールド上を駆け抜けて 敵ってやつをぶっ殺して
助け出されたお姫様が いったいどれだけ偉いってんだ


流れ続ける単調な日々の中で 周りを見渡せば誰もいない
倒し続けるスターの光の中で
分かり合えた人なんて誰もいない いないフリをした

弱くなればなるほど自分が嫌いになった
誰といたってひとりぼっち これが僕の望んだ世界だって

うそだちがうちがうちがう
スターじゃないよモンスターだ まるで
わからないから決めたんだ ありのままでいい

スターなんかいらなかったスターなんかいらなかったんだ
「強い」ってなにか知らなかった
弱いって知ったモンスター

荒川の土手を走りぬけたけど 敵なんか誰もいなかったんだ
誰かを倒す強さなんて 今の僕には必要ない

スターなんかいらなかったスターなんかいらなかったんだ
フィールド上を駆け抜けて 敵ってやつをぶっ殺して
助け出されたお姫様が いったいどれだけ偉いってんだ

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4. セブンスター作詞 / 作曲 風間崇史

セブンスターを買った なんとなく名前で選んだんだ
セブンスターを買った 17歳の僕は
あの子に振られたかっこ悪さをごまかしてしまおうと
傷ついたフリをしようと
初めてセブンスターを買った

セブンスターを買った 人通りの少ない自販機で
コソコソと隠れるように ビクビクと怯えるように
\200いくらの四角い箱は まるで僕の中身のように
思ったよりも安く 驚くほどに軽かったんだ

授業も部活もバイトもバンドもサボってバイクにまたがって
この街を見下ろせるとっておきの場所で
タバコに火をつけた

死んでしまえと思った 死んでしまおうと思った
煙のように浮かんでは消える そんな思い出なんてでてこない
初めてすったタバコは びっくりするほど不味かった
2度と吸わない 2度と君には会わない


「2度と会わない」と決めた次の日 学校で会った
君はキレイだやっぱりキレイだむかつくけれどもキレイだ
セブンスターを吸ったんだ 少し大人になったんだ
自慢げにしている僕は どうしようもない子供だった

授業も部活もバイトもバンドも全部それぞれ怒られて
親にもついでに怒られて
なんもかんも嫌になって
タバコに火をつけた

死んでしまえと思った 死んでしまおうと思った
マッチのように燃え尽きて消えたい そんな勇気すらなかった
2度目に吸ったタバコも やっぱりおいしくなかった
2度と吸わない 2度と君には会わない


セブンスターを買った 本当の理由は
名前なんかじゃない かっこつけたかったわけでもない
セブンスターを君が 吸っていたから
それだけの理由だ
それだけの理由なんだ

死んでしまえと思った 死んでしまおうと思った
死んでしまえと思った 死んでしまおうと思ったんだ
死んでしまえと思った 死んでしまおうと思った
2度と吸わない 2度と君には会わない

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5.3年間は速すぎる作詞 / 作曲 角皆文悟

ずっと前から知っていたんだ
きっと終わりがくるって事も

教室も教科書もあの日の声も
まるで全て嘘だったように

3年間は速すぎる


ずっと言えずにいた言葉
あっという間に消えたアナタも

放課後も校庭も休み時間も
まるで全て嘘だったように

3年間は速すぎる













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6.RPG作詞 / 作曲 風間崇史

目覚めたときわかってしまったんだ
悔しいがしょうがないよな 勇者は他にいたんだ
せめて魔法使いになりたかったけれど どうやら僕は村人Aのようだ

Aボタンひとつで人と話せたらな
選択肢が多すぎて間違った言葉をいつも選ぶ
Bボタンひとつでキャンセルできたらな
さっき放った必殺の言葉を取り消せるのに

イベントは少ないけれど フラグは立たないけれど
死にかけてばかりだけれどそれなりに大冒険
コントロールするんだコントロールするんだ
いつだってラスボスは自分の中にいるんだ

↑↑↓↓→←→←AB
暗闇の中じゃどっちへ進んでみても壁にあたる
でも声がするんだ 「みんながんばれ」と
ありきたりな作戦 でもその度に生き返るんだ

イベントは少ないけれど 友達も少ないけれど
村人ばかりだけれど 最強のパーティーなんだ
コントロールするんだコントロールするんだ
これほど面白いゲームはどこにも売ってやしないよ
いつだってラスボスは自分の中にいるんだ

目覚めたときわかってしまったんだ
悔しいがしょうがないよな 勇者は他にいたんだ
だけど「イマジン」想像してごらん
「村人が世界を救う」
そんなゲームはどうだい

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7.部屋と花粉と私作詞 / 作曲 風間崇史

春がきたから もう部屋からでれない
髪を切りすぎて もう誰にも会えない
手を繋ぐ恋人よ 暗がりへ消えてくれ
訳も無く涙がでるんだ

花粉症なんだ

夏がきたから もう部屋からでれない 悪いやつらで溢れかえる季節さ
太陽にさえ腹が立つ アスファルトにも腹が立つ 強い光に腹が立つ
目が痛い

あーだこーだ言ったって 肝心なことは叶わない
ずっと弱者ぶっていれたら簡単だけども浅ましい
震えてるフリして 甘えているだけ

誰もオマエに興味なんてないよ だから怖がることはなんもないよ
自意識と勘違いが部屋のドアを押さえているだけ
特別な人間じゃないよ 傷つくようなことは起きない
よ 全部 わかった今 それでも部屋から出られない


秋がきたから 外にはでれない 読みたい本があるので外にはでれない
冬がきたから布団からでれない 震えているだけ

もうだめだ 無理だって言っても状況は変わらない
できる やれるって言っても強がりにしか聞こえない
笑っているフリして 合わせているだけ

誰もオマエに興味なんてないよ だから合わせることはなんもないよ
見捨てられそうな不安が部屋のドアを押さえているだけ
特別な人間じゃないよ でも世界に1人だけらしいよ
全然わからなくなって やっぱり部屋から出られない


積み重なった漫画も積み重なった衣類も
折り重なった問題を片付けられずに放り投げてそのまんまにしちまった
震えているだけ

誰もオマエに興味なんてないよ だから怖がることはなんもないよ
見捨てられそうな不安が部屋のドアを押さえているだけ
そのドアを開けるのはこの部屋を開けるのは
不本意ながらいつだって
誰かのなんでもない言葉

髪が伸びたからもう部屋をでるよ
悪いやつらなんてどこにもいないよ
自意識も勘違いも今は部屋に閉じ込めて
髪を切りに部屋をでるよ

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8.上質なねじれた心作詞 / 作曲 風間崇史

「消えたい」とばかり呟いていたあの子を助けたかったんだ
僕だって同じだったからなにかできるって思ったんだ
傷をなめあってでも馴れ合ってでも なんとかしたかったんだ
僕だって同じなんだって 思っていたんだ

少しずつ少しずつ あの子は笑うようになった
少しずつ少しずつ あの子は元気になってった
少しずつ少しずつ いつのまにか でも確実に
僕は 僕は いらなくなっていったんだ

ねじまがってる ねじまがってる 僕はきっとねじまがってる
他の人と笑い会うあの子が とても幸せそうなあの子が
ねじまがってる ねじまがってる 僕は絶対ねじまがってる
こっそりと思ってしまったんだ もう一度、病気になれって


「消えたい」とばかり呟いていた僕を 助けたかったんだ
誰だって同じなんだって 勘違いも甚だしくて
傷は舐めあったって馴れ合ったって 治らないってわかったんだ
同じ傷なんてなくて 治し方だって違うって わかったんだ

少しずつ少しずつ あの子は笑うようになった 
少しずつ少しずつ 僕が笑えなくなってった
少しずつ少しずつ いつのまにか でも確実に
僕は 僕は いらなくなってしまったんだ

ねじまがってる ねじまがってる 僕はきっとねじまがってる
他の人と笑い会うあの子が だんだん遠くなるあの子が
ねじまがってる ねじまがってる 僕は絶対ねじまがってる
こっそりと思ってしまったんだ もう一度病気になれって


少しずつ少しずつ そんで全部忘れていくんだ
10年後にはどうせ今の悩みなんて忘れてるよ
今の流行りも悩みもあの子のことも全部忘れていくんだ
それでいいんだ

何かを捨てるように 諦めたように笑った

ねじまがってる ねじまがってる 僕はきっとねじまがってる
忘れられた頃 忘れかけた頃 あの子から手紙が届いた
かわいい便箋に感謝の手紙が何枚も

「どうせ忘れるくせに」
言ったあとで その手紙を
忘れないように大事にしまった

ねじまがってる ねじまがってる 僕はきっとねじまがってる
嬉しくてしょうがないのに とても幸せなくせに
ねじまがってる ねじまがってる僕は絶対ねじまがってる
どうせみんな忘れていくって
僕は嫌われているって
「消えたい」って呟いたあとで

消えたくないって気づいた

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9.ロボット診療所作詞 / 作曲 角皆文悟

あー こちらは ロボット診療所
壊れたロボットを 修理しますよ
「僕にできるかな?」 不安なヒゲ博士
「君を治せるかな?」 不安なヒゲ博士

「いつ いつ壊れたの?」「何故 何故泣いてるの?」
「ヒゲ ヒゲここにいる」「もう もう大丈夫!」

*誰でも ネジの 一つや 二つないよ
君の ネジなら 僕が もってるよ

あー今度はヒゲ博士が壊れた
自分の才能のなさに博士が壊れた

「ヒゲヒゲ泣かないで」「ポンコツ博士でも」
「ダメダメ博士でも」「ボクボク大好きだ」



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10.ひぃはぁ作詞 / 作曲 風間崇史

鈴木って名前の人が嫌いになったのは
鈴木って名前をした嫌な奴がいたから
夢って言葉を使わなくなったのは
夢なんて叶ったことが一度もないから

言葉なんてどうでもいいただの記号だ
悩むために悩んで もう十分だろう

「嬉しい」とか
「悲しい」とか
「好きだ」とか
「嫌い」だとか

言葉がなけりゃ伝わらないのは
悲しいことだな


あいうえお
どうでもいい言葉

「殺す」「好きだ」「さみしい」

言葉がなけりゃ伝わらないのは
悲しいことだな


鈴木なんてどうでもいい ただの男だ
悩むために悩んだ もう十分だろう

「嬉しい」とか
「悲しい」とか
「好きだ」とか
「嫌い」だとか

「嫌い」以外が伝わらないんだ
悲しい人だな


あいうえお
どうでもいい言葉

「殺す」「好きだ」「さみしい」

言葉がなけりゃ伝わらないのは
悲しいことだな


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11.売れないバンドマン作詞 / 作曲 風間崇史

埼玉での生活も もう10数年が経った
田舎よりも都会 都会よりも田舎
中途半端な街で 中途半端な人になった
だけどそれほど悪い気がするわけじゃない

こんな僕に何も言わない 君がどれだけ怖いか
こんな暮らしに何も言わない 君にどれだけ甘えてるのか
どれほど謝ったって感謝したって 急にどうしたのって言うだけで
なにかあったの って疑われるだけで

ちきしょう 
あのな いつだって思うんだ
頑張れ 頑張れ 頑張れ 頑張ってくれ 俺


君との生活も もうすぐ10年になるんだ
友達よりも恋人 恋人よりも家族
中途半端な僕と しなくなった セックス
だけど全然 愛していないわけじゃない

こんな僕に何も言わない 君がどれだけ怖いか
もしも君がいなくなったら 僕はひっそり死んでしまうよ
どれほど謝ったって感謝したって 急にどうしたのって言うだけで
やりたいことをやれって いつだって言うだけで

ちきしょう 
あのな いつだって思うんだ
ありがとう ありがとう ごめんな ごめんな ごめんな


音楽なんてやればやっただけ金と数字の話ばかりだ
何人入ったとか何枚売れたとかそんなもんどうだっていいんだ
誰かに褒められたって怒られたって 全然信じられないんだ
ただ君が言ってくれる 「今日はよかったよ」
その一言で僕は 僕は

ちきしょう
あのな いつだって思うんだ
頑張れ 頑張れ 頑張れ 頑張れ 俺
ありがとう ありがとう ごめんな ありがとう ありがとう

















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12.「何も聞きたくない」(作文)作詞 角皆文悟 / 作曲 3markets(株)

気がつくと目の前には、髪を白く染めた老婆がたっていた。
右隣の若者は、ゲームをしている。左隣りのOLは携帯に夢中だ。
僕はi-podの停止ボタンを押した。
電車の音。遠くのサラリーマンの咳払い。女子高生の恋愛トーク。全てが鮮明に聞こえた気がした。
僕は小さな声で「どうぞ」と言って席をたった。
僕は本当は座っていたかった。それでも何故か席をたった。
駅前でゴミ拾いをしていた偽善者を思い出して、
少し恥ずかしくなって、老婆のお礼の言葉は流すようにしか聞けなかった。

僕は気付いた。
何も聞こえないんじゃなくて、何も聞こうとしていなかったんだ。
僕の決め付けで嘘だとか、偽善だとか欺瞞だとか言って、本当の声を聞こうとしていなかったんだ。
そうやって僕はいつの間にか僕自身の本当の声も何も聞こえなくなっていたのかもしれない。

電車の扉が開く。
僕は僕自身の心の扉をあけて本当の声を探した。

そうして僕はもう一度イヤホンを耳にあてた。

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