好きなバンドが嫌いになるとき

DM…おそろしいDM時代に突入した…
 　
 
バンドマンにとってDMとは…
恐怖の対象でしかないのだ…
 
 
「好きです」などと送られてきても
絶対に勘違いしてはいけない。
 
 
ちゃんと言葉の裏を考えて
「好きです」（バンドが）と捉えらないといけない。
 
 
もしも勘違いして、
 
「嬉しい、僕も好きです。」
 
などと返してしまったら
たちまちスクショされて
 
 
「ブサイクなバンドマンに告白された」
  
  
と書かれ、
ネタにされてしまう世界線に俺たちは今立っているのだ。
  
  
実名もわからなくなってしまった時代、
  
ファンのふりをした同業者からの罠DMではないかと
いつもいつも怯えているのだ。
 
 
 
しかし、俺は、できるかぎり返す。
 
漫画を読む余裕があるくらいなら
売れるまでは罠でもなんでも
できるだけDMは返すと決めているのだ。えらいぞタカフミ。
 
 
 
 
しかし、この間、さみしいDMが届いた。
 
 
「彼女と別れてしまいました。
スリマが聴けなくなりました。
次のライブ１人で行きます。
楽しみにしています。」
 
 
と。
 
この最後の、
 
「楽しみにしています」
 
は
 
 
「最後なので楽しみにしています」
 
 
という声に聞こえた。
 
 
 
最近、お客さん同士が仲良いのをみてると
とてもほんわかするし、
俺も混ぜろよ…と羨ましくなるけれど、
 
お客さん同士で喧嘩したりしたら
バンド自体を嫌いになってしまうんじゃないかと怖くなる。
 
 
バンドを嫌いにならなくても
苦手な人がいたらライブに行けなくなる気持ちはわかるから。
 
 
この子は彼女にスリマを勧めたら気に入ってくれて
ライブに行くようになったと話してくれて。
 
 
 
いろんな人がいろんな繋がりや思いを持ってライブにくる
演者にできることがあるわけもない。
 
俺たちはいいライブをするだけ。
 
 
 
 
 
 
 
…それなのに、この日、
  
 
よくないとわかっていたんだけど
特別扱いをした。
  
  
その男の子が「太れ(曲)を聴きたい」
と言っていたから
セトリを変更して太れをやった。
 
たぶん、もう来ないだろうから。
 
 
だったら最後くらいいい思い出作ってあげたいと思って。
 
 
 
 
なにより…
 
 
 
他の女の子からもこの日、DMが来ていた。
 
 
 
「彼氏と別れて１人で行くことになりました」
 
と。
 
 
 
これは…もしかして……
 
 
 
 
 
この女の子がその別れた相手なのかはわからないけれど
なにか、起きるかもしれない。
 
太れを歌うことで何かが起きるかも知れない。
 
 
やるしかない…
 
 
そう思ってライブに臨んだ。
 
 
 
 
 
 
…
  
 

 
 
結果だけ先に言うと、
 
 
 
 
なにも起こりはしなかった。
 
 
 
２人は、その別れた２人だった。
 
 
 
 
このライブをきっかけに
戻ることもなかったし、
２人が話すこともなかった。
  
 
でも、
２人とも泣いていたって聞いた。
 
 
 
 
そのあと、２人からDMがきた。
 
 
 
彼氏からは
「超背中押された」と、
 
 
 

これは
 

「（先に進むために）超背中押された」
 
って意味だと思った。
 
 
 
 
 
彼女からは、

「２人を繋いでくれてありがとう」
 
と。
 
 

「（今まで）２人を繋いでくれてありがとう」

という意味だと思った。
  
  
 
 
2人はもう来ないかもしれない。
 
 
 
でも、きっと、3人にとって、
 
 
一生忘れられない夜になった。
  
  
  
 
 
 
 
 
 
  
  
 
PS

3人だけじゃなくて全員が忘れられない夜にしろタカフミ！
 
 
他のバンドの人たちってDMどうしているんだろう。
プロ意識が高い人ほど返さないんだろうな。
 
DM、送ってもらえるだけありがたくてねぇ…
 
昔はこっちからたっくさんメールとかして
ライブにどうかきてくださいとやっていたことを思うと
本当にありがたくてねぇ…
 
 
リキッドワンマンまであと25日だねぇ…
 
あと…今日の夜中テレビにでるんだねぇ…
恥ずかしくてねぇ…
はげてるし下手だしねぇ…
もしハゲ見つけても報告はいいからねぇ…